最終更新日:2024年2月13日
皆さんこんにちは!
突然ですが、皆さんは「発酵食品」と聞くとどのような食品を思い浮かべますか?
ぬか漬け、味噌、納豆…日本人には比較的なじみの深いものが多いイメージですが、発酵食品と一口に言っても、実に様々です。
そこで今回は、意外と知らない「発酵食品」についてお伝えします。
発酵に関わる3大微生物
発酵には、主に3種類の微生物が関わっています。
カビ | 麹菌(日本酒、醤油、味噌) |
青カビ、白カビ(チーズ) | |
カツオブシカビ(鰹節) | |
酵母菌 | 酵母菌(酒類、パン、醤油、味噌) |
細菌 | 乳酸菌(ヨーグルト、漬物) |
酢酸菌(酢) | |
納豆菌(納豆) |
発酵と同様に、微生物が関わる作用には「腐敗」があります。発酵との違いは、それがヒトにとって有益かどうかというだけで、厳格な決まりはありません。食品が腐敗すると、悪臭のもととなる成分が生成されたり、病原性の微生物が増殖したりして、腹痛や下痢など体に害を及ぼします。
これぞ発酵パワー!
食品のうまみを引き出し、栄養価を上げる
酒やみりんは、麹菌によってデンプンが分解されているため深い甘みがあります。同様に、たんぱく質が分解されると、うまみの素になるグルタミン酸やイノシン酸ができます。このように、微生物の力で、食材本来の味に独特の風味が加わるのです。また、発酵によって体に有益な成分が増えます。例えば、ゆでた大豆と納豆の栄養成分を比べると、納豆のほうがビタミンB2は7倍、葉酸は3倍、ビタミンKはなんと85倍も多く含まれています。
食品の保存性を高める
そのままでは腐ってしまう牛乳も、発酵させてヨーグルトやチーズにすると長く保存することができます。またキムチは、乳酸菌の働きで野菜の糖分から乳酸を生み出し、漬け汁を酸性にすることで雑菌の繁殖を抑えています。このように、発酵に関わる微生物が腐敗の原因になる雑菌の繁殖を防いでくれるため、発酵食品は保存性が高いのです。
※ちなみに、梅干は発酵食品と思われがちですが、一般的には梅と塩だけでつくるため、発酵食品ではありません。梅自体に含まれるクエン酸などの成分が強い殺菌作用を持っているため、梅干は長期間保存することができます。
ヒトの腸内環境を整える
発酵食品には生きた菌がたくさん含まれます。例えば、ヨーグルトや漬物に含まれる乳酸菌を摂取すると、ヒトの腸内に住む善玉菌の働きを助け、腸内環境の改善につながります。食品中に含まれる乳酸菌などの菌は加熱調理や胃酸によって死滅してしまうことがほとんどですが、実は死んだ菌も、善玉菌のエサになったり、悪玉菌の出す有害物質を吸着して外に出しやすくしたりと、善玉菌のサポート役として大事な役割を果たしています。
発酵食品の上手な取り入れ方
1.毎日続けて食べる
菌が腸内で活動できるのは3~4日とされています。調味料に味噌や醤油、酢を利用する、間食にヨーグルトやチーズを食べるなど、毎日の食生活に取り入れましょう。
2.複数の食品を組み合わせる
様々な菌を体に取り入れるためには、複数の発酵食品を組み合わせることがおすすめです。
例:キムチ+納豆、酒粕+みりん
※漬物や味噌汁など塩分の高い食品は、1食の中で重ねてとらないように気をつけましょう。
3.なるべく生の状態で食べる
微生物の多くは40℃以上の加熱で死滅するため、発酵食品を加熱せずに食べると生きた菌を摂りやすくなります。ただし納豆菌は100℃の熱にも耐えることができるため、加熱調理しても生きたまま腸に届きます。
4.食べ過ぎに注意する
漬物、チーズ、味噌など、発酵食品には塩分やうまみの強いものが多く、ついたくさん食べてしまいがちです。しかし、いくら体に良いと言っても、過剰摂取は塩分の摂り過ぎにつながり、高血圧や腎機能を低下させる原因となります。小皿に取り分けて食べる、調味料は計量するなどして、食べすぎに注意しましょう。
おすすめレシピ
・鮭と具だくさんの粕汁
・人参の塩麹炒め
・塩麹の野菜パスタ
〈参考文献 〉
・「発酵食品 食材&使いこなし手帖」(岡田早苗)
・「図解でよくわかる 発酵のきほん」(舘博)
・フジッコホームページ