最終更新日:2024年3月1日
いよいよ春が来ます
3月に入り徐々に気温も高くなってきて、いよいよ春が来たという感じですね。春を知らせる暖かい風とともに、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状に悩まされる方も少なくないでしょう。今や国民の4人に1人は花粉症といわれ、春が憂鬱と感じる方も多いと思います。日本気象協会から発表されている2024年の花粉の飛散予想では、スギ花粉のピークは2月下旬から3月下旬、ヒノキ花粉は3月中旬から4月中旬となっています。また、花粉の飛散量は、多くの地域で例年並みかやや多い傾向の予想です。
どうして花粉症は発症するの?
元々ヒトの身体には病原菌やウイルスから自身を守るために、免疫システムが備わっています。花粉症はその免疫システムが本来害のない花粉に対し、過剰に反応してしまう病気です。
花粉症が発症する流れ
①空気中に浮遊する花粉やダニなどのアレルゲン(抗原)が花や目に侵入
②アレルゲン(抗原)が細胞内のマスト細胞にくっつくと、ヒスタミンという物質を放出
③放出されたヒスタミンが目や鼻の神経・血管を刺激して、くしゃみや鼻水・鼻詰まり、目の痒みなどの症状が発症
突然花粉症デビュー?!
家族や友人と「急に花粉症になった」「今年から花粉症デビュー」という会話をしたことはありませんか?昨年は症状がなかったのにと思う方もいるかもしれませんが、実は花粉症の発症は、花粉の蓄積期間に関係しています。体内にアレルギー反応を引き起こす原因物質(抗原)が侵入すると、それを除去するための抗体がつくられます。その抗体が一定の水準を超えると、花粉症などのアレルギー疾患を発症します。
花粉症と風邪の見分け方
花粉症の主な症状には、くしゃみや鼻水・鼻詰まりといった、風邪に似た症状が出現します。そのため、自身で風邪か花粉症かを判別するのが難しい場合が多いです。見分けるためのひとつの指標として“鼻水”を観察してみてください。花粉症の鼻水は透明でサラサラしているのに対して、風邪の鼻水の場合、初めは透明でサラッとしていても、数日で黄色っぽいドロッとしたものに変化していきます。これは白血球が細菌やウイルスと闘った痕であり、風邪の鼻水の特徴でもあります。
花粉症にも合併症があるの?
花粉症に悩んでいる方の中には、花粉症と口腔アレルギー症候群を合併している方もいます。口腔アレルギー症候群とは、特定の野菜や果物を食べると口の中や喉の粘膜にかゆみなどの過敏症状をきたすというものです。
例をあげると、スギ花粉症の人は、トマトアレルギーを発症する可能性があります。しかし、発症の割合は10人から20人に1人と言われているので確率は低いです。また、シラカバ花粉症の人は、リンゴやサクランボ、モモなどを食べると4割から5割の確率で口腔アレルギーを発症する可能性があります。もしもこれらの食べ物を食べて、15分以内に口の中や喉の粘膜、口唇がかゆくなったり、ピリピリしてきたりした経験がある方は口腔アレルギー症候群を合併している可能性があります。アナフィラキシーショックを起こしてしまう危険があるので、注意が必要です。
花粉症って治療できるの?
花粉症の治療は他の鼻や眼のアレルギーの治療と基本的には同じですが、急激に花粉にさらされるため、急性の強い症状への配慮も必要となります。治療法を大きく分けると、症状を軽減する対症療法と根本的に治す根治療法の二つがあります。
対症療法
全身療法…アレルギー薬などの内服薬の使用
局所療法…点眼、点鼻薬などの使用
鼻粘膜への手術療法
根治療法
減感作療法(抗原特異的免疫療法)…花粉を少しずつ体内に取り入れて慣れさせていくことで、過剰なアレルギー反応を抑える方法です。花粉を体内に入れる方法は、皮下注射で行う皮下免疫療法と薬を服用する舌下免疫療法があります。
花粉症の症状に悩まれている方は、まずは主治医やかかりつけ医、耳鼻咽喉科へ相談してください。
花粉症から守るセルフケア
花粉症は症状が辛いだけでなく、仕事や日常生活に影響を及ぼしたり、外出や人付き合いに影響を及ぼしたりと、生活の質(QOL:クオリティーオブライフ)を低下させる要因のひとつです。完全に症状をなくすことは難しいですが、ご自身で工夫して症状を軽減させることができます。
アレルゲンを体内へ入れないようにしましょう
外出時にマスク(花粉の侵入を15~30%減少)やメガネ(花粉の侵入を30~50%減少)を使用する
外出時には花粉の付着しやすい衣類は避ける(○ポリエステルなどの化学繊維 ×ウールなどの毛織物)
帰宅時には玄関の外で花粉を払い、室内に持ち込まないようにする
帰宅時にはうがい・手洗いや洗顔をし、できるだけ花粉を洗い流す
窓を開ける際は花粉の飛散量が多くなる昼前と日没後の時間を避けて、レースカーテンを使用する(花粉の多い時間:晴れて気温の高い日、空気が乾燥して風通しの良い日、雨の次の日)
症状を悪化させるものは控えましょう
タバコ・ストレス・睡眠不足・お酒の飲みすぎ等は症状を悪化させる恐れがありますので控えましょう。
免疫力を高めましょう
バランスの良い食事・習慣的な運動・十分な睡眠など規則正しい生活を送ることを心掛けて免疫力を高めましょう。
いかがだったでしょうか。これまで花粉症じゃなかった人も、今年急に花粉症を発症するかもしれません。鼻詰まりや咳、のどの痛みなどが長く場合は早めに病院へ行って、診察を受けるようにしましょう。
・厚生労働省 的確な花粉症治療のために(第2版)
・日本気象協会 024年 春の花粉飛散予測(第3報)
・一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 意外と知らない身近な耳鼻咽喉科・頭頸部外科
・全日本病院協会 「花粉症について」