最終更新日:2024年6月1日
6月になり、春からの新生活にも慣れてきたでしょうか?春から今の時期にかけては、新しい仕事や家庭環境、人間関係の変化などが生まれるため、ストレスを溜め込みやすくなります。また、6月は天候が不安定になることによる体調への影響を受けやすい時期です。気が付かないうちにストレスが蓄積してしまったり、心身の不調をそのままにしてしまったりすると、さらなる体調不良を引き起こしてしまうかもしれません。自身の身体や心の不調に気づき、日頃からケアをすることが大切です。
自律神経失調症 ~自律神経が乱れていませんか?~
これからの時期は、湿度が高く、蒸し暑い状態で雨が降り、低気圧の状態が長期的に続きます。晴れたり雨が降ったりと日々変化する天候や気温差に対するストレスが溜まったり、湿度が高い環境にいることによって、体内の不要な水分を排泄しにくくなり、むくみや頭痛、食欲不振、下痢などの症状が現れたりすることがあります。また、私たちの体内環境のバランスを整える自律神経は、気圧の変化に作用されるため、この時期は心身ともに不調を引き起こしやすくなります。自律神経には興奮状態の時に働く交感神経と鎮静時に働く副交感神経がありますが、低気圧が続くこの時期では副交感神経が優位になります。副交感神経が優位になることで、私たちの身体は休息状態になり、やる気の喪失やだるさを感じることになります。さらに自律神経が乱れることによって、めまいや肩こり、関節痛、気分が落ち込む、イライラするなどの症状も現れます。明らかな身体の不調ではなく、自律神経の乱れによって起こる不調を自律神経失調症と言います。
自律神経の乱れではなく、更年期障害かも・・・
自律神経失調症に似た心身の不調の一つとして、更年期障害が挙げられます。
40歳代半ばで迎えるのが更年期で、更年期に起こるさまざまな症状を更年期症状といいます。更年期症状の種類や強さには個人差があり、約200種類ほどの症状があると言われています。のぼせやほてりなどのホットフラッシュ、発汗、肩こり、腰痛、関節痛、息切れ、動悸など身体的な症状のほかにも、気持ちが落ち込む、無気力になる、イライラする、寝つけないなどの症状も現れます。その中でも日常生活に支障をきたすほどつらい症状が起こることを更年期障害といいます。
更年期障害が起る原因は?エストロゲンとテストステロンの働きがポイント!
女性の更年期障害が起こる原因は、女性ホルモンの一つであるエストロゲンです。エストロゲンには、記憶力や集中力を保ったり、気持ちを明るくして精神を安定させたり、骨や血管を丈夫にしたり、コレステロールの量を調整したりとさまざまな働きがあります。
このエストロゲンの分泌量は、20~30歳代にピークを迎え、閉経前後の40歳代半ばから50歳代半ばにかけて急激に減少します。更年期障害が起こる原因は、このエストロゲンの分泌量が不安定に減少していくことです。分泌量の調整がうまく行えないことにより、脳が混乱を起こして自律神経の働きが乱れてしまって、さまざまな更年期症状が現れます。
また、あまり知られていないですが、男性でも更年期障害を起こすことがあります。その原因は男性ホルモンであるテストステロンです。テストステロンには、筋肉や骨を強くしたり、生殖機能を正常に保ったり、判断力や理解力などの認知機能を高めたりとさまざまな働きがあります。このホルモンも20~30歳代に分泌のピークを迎え、40歳代から低下してくるとともに、生活習慣や社会との関わりに関係があることが分かっており、強いストレスを受けると分泌量が低下しやすくなります。40歳代以降の男性ではどの年代でも更年期障害を起こす可能性があります。男性特有の症状としては、性欲減退や生殖機能低下などが挙げられます。
自律神経を整える&更年期症状を落ち着かせる方法
規則正しい生活リズムを続けましょう
寝つきが悪くなっても昼夜逆転の生活にならないように、朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴び、体内時計をリセットしましょう。また、部屋が暗いと気分が落ち込んでしまうので、曇りや雨の日でも電気を付けて部屋を明るく保ちましょう。
栄養バランスのとれた食事を摂りましょう
栄養バランスを保ちつつ、特にタンパク質の摂取を意識してみましょう。タンパク質には満腹感や幸福感を与えてくれるドーパミンや集中力を高めるノルアドレナリン、睡眠導入をしてくれるメラトニンなどの幸せホルモンを作る働きがあります。豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品にはイソフラボンというエストロゲンに似た働きをする成分が含まれているので、更年期症状の改善にも繋がります。
適度な運動をしましょう
天候が悪いと外出も億劫になってしまいますが、無理なくできる運動を続けましょう。運動で汗をかくことで、体内に溜まった余分な水分を排出することができたり、うつ症状のリスクを低下させたりすることができます。室内でできるストレッチやスクワット、踏み台昇降から始めるのもおすすめです。
リラックスする時間をつくりましょう
38℃~40℃くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になり、眠りにつきやすくなります。香りにもリラックス効果がありますので、好きな香りの入浴剤やアロマを見つけたり、よもぎ蒸しに行ったりなどもおすすめです。
心のケアをするための考え方を心がけましょう
完璧を求めずに、7割くらいできていればいいと考えて気負わないようにしましょう。
関連健康情報
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・寺内公一 女性の心と体の不調 更年期障害治療最前線 NHKきょうの健康 NHK出版 2024年4月21日 2024年5月号
・NHK健康チャンネル https://www.nhk.or.jp/kenko/special/otoko-kounenki/sp_1.html
・大正製薬 https://www.taisho-kenko.com/column/113/
・恩賜財団済生会 https://www.saiseikai.or.jp/medical/column/loh_syndrome/