遺伝学的検査
遺伝学的検査は、遺伝子からがんの生涯発症リスクを調べる検査です。当センターでは、BRCA1およびBRCA2(以降BRCA1/2と呼ぶ)を含む遺伝性腫瘍の最も一般的な遺伝子31項目を対象とした検査と、遺伝性腫瘍と強く関連することが知られている67項目の遺伝子を調べる検査の2種類を受けることができます。
遺伝性乳がんについて
ヒトが生まれた時から持っている遺伝子の変化により引き起こされるがんのことを「遺伝性がん」と呼びます。近年、遺伝子解析技術の進歩により、様々な遺伝子の変化ががんの発症に関係していることが判明しています。そのなかでも乳がんは、特に遺伝が関係することが多いとされ、乳がん患者さんの約20%が、自分以外の家族で乳がんを発症している人がいます。そして、そのなかの更に約20%に遺伝子の変化が確認できると言われています。もちろん、遺伝子の変化があると必ずがんが発症する訳ではありませんが、こうした遺伝子の変化でがんを発症する確率が3倍から10倍に高くなると考えられています。
BRCA1/2遺伝子の変化と乳がんの発症リスク
遺伝子によるがんの発症の中でも、乳がんの原因となる遺伝子の70%を占めるのが、BRCA1/2と呼ばれる遺伝子です。BRCA1/2遺伝子の変異が原因で、若い年齢で乳がんや卵巣がんを発症することが解っています。この遺伝子の変化には、他にも膵臓がんや前立腺がんの発症のリスクが高くなると言われています。
当センターでの遺伝学的検査
当センターでは、BRCA1/2だけではなく、ほかの遺伝子の変化も調べる多遺伝子パネル検査を行っています。これは遺伝性がんが心配な方は、BRCAだけでなく、ほかの遺伝子の変化も調べる必要があるからです。多遺伝子を調べることにより、乳がんだけでなく、大腸がん、子宮体がん、尿路系のがんなどが多いリンチ症候群などの検査も行うことができます。
受診方法
乳腺カウンセリング外来を受診し、そこで遺伝カウンセリングを受けていただきます。
乳腺カウンセリング外来のお申し込み方法等について、コチラをご確認ください。
乳腺カウンセリング外来の受診日時
月曜日 15:00~(要予約)
料金
31遺伝子:170,500円(税込)
※遺伝性腫瘍の最も一般的な遺伝子31項目を対象とした検査
67遺伝子:247,500円(税込)
※遺伝性腫瘍と強く関連することが知られている67項目の遺伝子を調べる検査
遺伝学的検査は遺伝カウンセリングを受けていただき、十分に説明を受け、利益・不利益を理解した上で検査を受けるかどうか決めていただきます。
お問い合わせ
医事課 055-223-3635
(平日 8:30~12:00 / 13:00~17:00)
参考情報
BRCA1/2遺伝子検査の保険適応について
当センターではBRCA1/2の遺伝子のみの検査は行っておりませんが、BRCAについてはPARP阻害剤(卵巣癌新規治療薬)ががん患者さんの治療に役立つことが認められており、条件を満たせば保険適応になります。乳がんの治療を行う他病院で行っておりますので、カウンセリングの中で必要に応じ紹介をさせていただきます。
保険適応の場合
60,600円(3割負担の場合)
保険適応条件
①乳がんの既発症例の中で、以下のいずれかの項目に当てはまる方
45歳以下の若年発症
60歳以下のトリプルネガティブ乳がん
2個以上の原発乳がん発症
第3度近親者(曾祖父母、大叔父、大叔母、いとこまでの血縁者)に乳がんまたは卵巣がん発症者がいる
男性乳がん(再発がある場合はPARP阻害剤の治療適応を決めるための検査が保険で認められています。)
②卵巣がんの方は制限がありません。 また、膵臓がん、前立腺がんの方も再発がある場合はPARP阻害剤の治療適応を決めるための検査を保険で行うことができます。