最終更新日:2024年12月1日
高血圧でお悩みの方は、高血圧予防で取り組んでいることはありますか?やはり高血圧予防=減塩というイメージがある方も多いのではないでしょうか。しかし近年では減塩だけでなく、食事の組み合わせを工夫することでも高血圧を予防・改善できるといわれています。それが今回ご紹介する「DASH食」です。
DASH食とは
DASH食は、アメリカの国立衛生研究所が高血圧の予防や改善を目指すために考えた食事療法で、野菜・果物・低脂肪乳製品を増やすことが特徴です。日本とアメリカで食文化の違いはありますが、私たち日本人も減塩と組み合わせてDASH食を取り入れることで、高血圧の予防や改善ができると期待されています。食塩を控えることを意識しながらも、さまざまな食材を楽しむことができるため、無理なく続けることができ、効果のある食事療法として支持されています。
DASH食のポイント
DASH食のポイントは塩分を控えるだけでなく、塩分の排出に効果的な食材をたくさん取り入れることにあります。ここからは積極的に摂っていきたい食品と、意識して減らしたい食品をご紹介します。
積極的に摂取したい食品
野菜や果物
野菜や果物に豊富に含まれるカリウムは、体内でナトリウム(塩の成分)が増えると尿の排出を促し、血圧を下げてくれます。野菜の適量は1日350g以上(毎食小鉢2皿分)、果物の適量は1日200g以内(片手のひらに乗る量)です。この量を目安に積極的に食べるようにしましょう。
乳製品
以前から日本人はカルシウムが不足していると指摘されています。カルシウム不足は筋肉の収縮と関連があり、高血圧や血管の老化に繋がってしまいます。そのため、カルシウムを多く含んでいる牛乳やヨーグルトもDASH食には欠かせない食品です。ただし、カルシウム不足による血圧上昇を予防する一方で、乳脂肪も含まれているため摂りすぎると動脈硬化を進めるリスクがあります。「低脂肪」「無脂肪」と表示のある商品を上手に活用しましょう。
1日の適量は牛乳はコップ1杯(約200ml)、ヨーグルトはカップ1個 (100g程度)が目安です。
海藻類
わかめやひじきなどの海藻類に含まれるマグネシウムは、カルシウムの働きをバランスよく調整し、血圧上昇を防いでくれます。マグネシウムを十分に摂ることも高血圧予防につながりますので、酢の物やお味噌汁などの副菜に積極的に取り入れていきましょう。
大豆製品
納豆や豆腐、油揚げやきな粉など、日本の食卓を支えている大豆製品は、低脂肪である上にカルシウムが豊富です。また、大豆に含まれるイソフラボンには血圧を下げる効果があるとされています。1日1食は大豆製品を主菜に取り入れてみましょう。
主菜として大豆製品を取り入れる際に活躍する、おすすめの厚生連の健康レシピをご紹介します。
魚類
DASH食の特徴の一つとして、魚をたくさん取り入れることが推奨されています。特に青魚(サバやアジ)に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、体内で作ることのできない栄養素「α-リノレン酸」を多く含んでいます。このα-リノレン酸には血管を広げる効果があるため、これらを多く摂取する人は血圧が低い傾向があるとする研究結果があります。魚は1日1切れが摂取の目安です。
摂取を控えたい食品
バターやマヨネーズなどの油脂類
油脂類は私たちにとって必要不可欠なエネルギー源となりますが、摂りすぎは動脈硬化を進め脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める危険性があります。また油は調味料から摂る以外にも、スナック菓子や洋菓子など加工食品に含まれているものもあります。見えない油も意識して減らしていくことが大切です。調味料から摂る油の量は1日大さじ1杯程度にとどめるようにしましょう。
肉類
肉類でも特に脂身の多い部位は、油類と同様に動脈硬化を進めてしまう恐れがあります。また、ウインナーやベーコンなど食肉加工品は脂質が多いだけでなく、食塩が添加されているものもあるため、やはり食べすぎは厳禁です。買い物をする際は脂身の多い部位は避け、普段から食肉加工品の摂取頻度にも気を付けましょう。
まとめ
DASH食で意識したい食品についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?これらは減塩と組み合わせることで相乗的な作用があります。減塩と一緒にDASH食を取り入れて高血圧予防をしていきましょう。
※DASH食を取り組む際、治療中の疾患がある方はまずは主治医にご相談ください。特にDASH食はカリウムの摂取量が増えるため腎疾患をお持ちの方はご注意ください。
参考文献: