最終更新日:2025年1月1日
寒さが一段と増し、朝晩の冷え込みが続く時期に注意が必要なのが「ヒートショック」です。ヒートショックとは温度の急激な変化により、血圧が上下に大きく変動することによって起こる健康被害と捉えられており、失神、心筋梗塞や不整脈、脳梗塞を起こすことがあります。室内外で温度差が大きい冬場に多く見られ、高齢者に起きることが多いのが特徴とされています。特に日常生活で注意が必要なのは入浴時です。暖かい室内から温度が低い脱衣所や浴室で衣服を脱ぎ、暖かいお湯に入るという温度変化に伴う血圧の激しい変動が発生するため注意が必要です。そこで今回は、ヒートショックが起きやすい人の特徴や入浴時など、生活の中で注意するべきことを紹介していきます。
「ヒートショック」を起こしやすい人はどんな人?
高齢者や高血圧の人が起こしやすいですが、糖尿病や脂質異常症等を患っている人も、発症しやすいと言われているため注意が必要です。発症しやすい原因として、糖尿病や脂質異常症を患っている人は血管の硬化、動脈硬化が進行している事が多く、血圧のスムーズな維持が難しいことから「ヒートショック」を起こしやすい傾向にあります。
下記の特徴を持った人が「ヒートショック」を起こす傾向があると言われていますので、自身に当てはまるものがいくつあるかチェックしてみてください。
65歳以上である
肥満気味である
呼吸器官に問題がある(睡眠時無呼吸症候群など)
不整脈がある
脱衣所、浴室に暖房器具がない、あるいはあるのに使っていない
「一番風呂」に入る事が多い
お酒を飲んでから入浴する事がある
「ヒートショック」の予防、対処方法
風呂場内を温める
入浴前にシャワーで床や壁にお湯をかけたり、風呂のふたを閉めずにお湯を張るなど、浴室内を温めることが大切です。脱衣所も暖房器具を設置し、室内を温めることで予防に繋がります。また、脱水防止のためコップ一杯水分摂取してから入浴するのもおすすめです。
体をお湯に慣れさせてから風呂に浸かる
入浴時は体の末端からお湯をかけて徐々に全身を温めましょう。また、風呂の温度は41度以下に設定して、長時間の入浴は避けるようにしましょう。
入浴後、急に体を動かさない
風呂から出る際は、ゆっくりと立ち上がるようにしましょう。急に立ち上がるとめまいや失神を起こす可能性があります。万が一、入浴時や後にふらつき・めまいを感じたら、無理に立ち上がらずに気分が落ち着くまで安静にしましょう。
緊急事態を周りが気付ける環境をつくる
家族へ一声かけてから入浴することで、実際にヒートショックなどの緊急事態が起きたときに、早めに発見してもらえる可能性があります。ご家族の方も“普段より入浴時間が長い”、“浴室から物音がしない”、“突然大きな音がした”など異常があれば、すぐに様子を確認してください。呼びかけても意識がない場合や呼吸が弱い、意識があっても呂律が回らないなど、ヒートショックと思われる症状がある場合は迷わずに救急車を呼んでください。
温度のバリアフリー化で、ヒートショックを防ごう!
いかがだったでしょうか。ヒートショックから身を守るには、屋内での温度変化を小さくすることが重要です。暖かい場所と寒い場所の温度差を少なくする工夫「温度のバリアフリー化」を行ってください。例えば、布団を出る際は上にカーディガンなどを羽織ったり、室内ではスリッパを履くなど足元を暖かくしたりして、廊下やトイレの寒さとの温度差を小さくしましょう。特に冬の朝は、布団の中と外では大きな温度差があります。暖房のタイマー機能を使って部屋を暖かくしておくと、温度差を小さくできるので寝る前に忘れずにタイマーをセットする習慣をつけると良いでしょう。
いろいろな場面で温度差が生じます。こまめに温度差を調節をして、ヒートショックの対策をしていきましょう。
引用・参考文献
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター「冬場の住居内の温度管理と健康について」(平成25年12月25日)
日本生気象学会雑誌 2016 年 53 巻 1 号 居住者視点によるヒートショック対策の検討(p. 13-29) 北村 恵理奈、柴田 祥江、松原 斎樹