最終更新日:2025年8月1日

近頃の物価上昇により、買い物のたびに「また値上がり?」と感じている方も多いのではないでしょうか?食品やサービス、電気、ガスなど幅広い分野で値上げラッシュが続いていますが、食品については近年の地球温暖化による異常気象などの影響もあり、生育不良も野菜の価格上昇に大きな影響を与えています。そのため食材を無駄なく、上手に使い切ることは家計の大きな味方になります。今回はちょっとした工夫で食材を長持ちさせる保存のコツをご紹介します。
野菜を長く保存するためのポイント
旬の野菜は価格が抑えられている傾向にあるため、旬のうちに野菜を購入し長持ちさせたいですね。野菜を無駄なく使い切るためのポイントを3つご紹介します。
野菜の呼吸を抑制する
野菜は収穫後も呼吸しています。呼吸することで蓄えていた養分や水分を消費して成長を続けていますが、やがて老化により見た目やおいしさ、栄養価などの品質が低下します。つまり、野菜の呼吸をできるだけ抑えることが品質低下のスピードを遅らせ、新鮮さを保つためのポイントです。一般的に成長点(葉や茎の先、芯などで野菜が細胞分裂を繰り返している部位)を切って、低温環境で保存することで呼吸が抑制され、品質低下を防ぐことができます。
育った環境に近い状態で保存する

縦に育つものは立てて、土の中で育つものは冷暗所で保存するなど、育った環境に近い状態で保存すると食材が長持ちします。原産地が熱帯地方の野菜や果物は、低温環境に弱く品質低下を招く恐れがあります。なす、きゅうり、ピーマンなどの夏野菜やじゃがいも、バナナなどの暖かい環境で育つ食材は10〜14℃の保存温度が最適です。涼しい季節は冷暗所で保存し、夏季は野菜室や温度の高いドア付近に入れましょう。
新鮮なうちに、適した温度・湿度で保存する

購入した食材はその日のうちに保存することがおすすめです。鮮度が落ちた野菜は味が悪くなるだけではなく、栄養素も大幅に減少してしまいます。例えば身近な野菜であるほうれん草はビタミンCの減少が著しいです。次の図1は「温度3~4℃・湿度90~100%」、「温度7~8℃・湿度50~70%」でそれぞれほうれん草を保存した際のビタミンC含有量の変化について示したグラフです。図1のとおり「温度3~4℃・湿度90~100%」で保存した方が栄養価を維持できると考えられます。新鮮なうちに、適した温度・湿度で保存することが重要です。
図1:吉田企世子『野菜の成分変動ー収穫、流通、保存においてー』より作成

野菜の保存方法
ここからは食材の保存方法について具体的にご紹介します。
葉物野菜
ほうれん草や小松菜など
葉を乾燥させないように水で湿らせたキッチンペーパーで包むかポリ袋に入れて野菜室で保存。
キャベツ
芯をくり抜いて空洞になった部分に濡らしたキッチンペーパーを詰めてポリ袋に入れて野菜室で保存。

レタス
乾燥に弱いため芯の部分に水で湿らせたキッチンペーパーを当ててからポリ袋に入れて野菜室で保存。
根菜類
にんじん
湿気や乾燥を嫌うので、水分をよく拭き取ってからポリ袋に入れて野菜室か冷暗所で保存。

大根
葉付きのままにしておくと根の部分がスカスカになるため、葉と根は切り離して野菜室で保存。
果菜類(果実やそれに含まれる種子を食用とする野菜)
きゅうり
水気を拭き取ってポリ袋に入れて野菜室で保存。
<Point>
半端なものは切り口を上にして立てて保存した方が鮮度を保ちやすくなります。
トマト
高い気温で栽培された夏野菜は寒さに弱いことから、ヘタ側を下にして1個ずつキッチンペーパーで包んでからポリ袋に入れて野菜室で保存。
<Point>
まるごと冷凍することもでき、水につけるだけで皮むきも簡単にできます。

なす
2本~3本ずつキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて野菜室で保存。
<Point>
冷やしすぎると低温障害を起こしてたねが黒く変色してしまうので注意しましょう。
玉ねぎ・いも類
湿気がないように新聞紙にくるんで冷暗所で保存。
<Point>
芽が出ないように日に当てないようにしましょう。

きのこ類
しいたけやしめじなどのきのこ類は水で洗わずに根元を切り落とし、食べやすい大きさにカット・ほぐしてフリーザーバッグに入れて冷凍庫で保存。水で洗うと風味が落ちるため、汚れが気になる場合は水で湿らせたキッチンペーパーで拭き取る。
※調理する際は冷凍のまま使用する。
<Point>
・数種類のきのこを合わせて「ミックスきのこ」を作っておくのも便利です。
・きのこは冷凍することでうま味や栄養価がアップします。

一緒に保存すると傷みやすくなる?エチレンガスを多く出すもの
りんご、メロン、もも、洋梨、アボカドなどはエチレンガスを生成し、他の野菜などに影響を及ぼすためポリ袋などに入れて保存。
※エチレンガスとは野菜や果物などが発する植物ホルモンのことで、果実の追熟を促す作用があります。

肉や魚の保存方法
トレーから出して使う分をラップでぴったり包むか、袋に入れて空気をしっかりと抜く。空気が残っていると品質が劣化したり、食品に霜がついてしまうため注意。
※解凍する際は室温だと菌が繁殖しやすくなるので冷蔵庫に入れてゆっくりと解凍する。
<Point>
・アルミのトレーに載せたりアルミホイルで包むと熱が伝わりやすいので早く凍ります。
・短時間で解凍したい場合は流水に当てて解凍することがおすすめです。

冷蔵庫は詰めすぎない
冷蔵庫に食品を詰め込みすぎると空気の流れが悪くなり、冷えにくくなったり温度にムラができたりして食材の傷みが早まります。目安は7割程度の収納です。特に冷気の吹き出し口はふさがないように注意しましょう。

冷凍庫は詰める
冷凍庫は冷凍した食品を詰め込むことが節電につながります。凍結した食品そのものが保冷剤のような役割を果たして、お互いを冷やすことができるためです。

まとめ
いかがだったでしょうか?食材を大切にすることは家計を守るだけでなく、食品ロスを減らし環境にもやさしい行動につながります。忙しい毎日でも、少しの工夫で心にもお財布にも余裕が生まれるかもしれません。物価高の今を上手に乗り切りましょう!
参考文献
・椎名武夫 (2016年9月)「野菜の品質保持技術について」『独立行政法人農畜産業振興機構 野菜情報』9月号,44‐47 https://www.alic.go.jp/content/000128110.pdf (2025年7月23日アクセス)
・吉田企世子(1993年)「野菜の成分変動-収穫,流通,保存において‐」『一般社団法人 日本調理科学会』26巻4号,362‐363 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience1968/26/4/26_359/_pdf/-char/ja (2025年7月23日アクセス)
・消費者庁「計ってみよう!家庭での食品ロス 食品ロス削減マニュアル~チェックシート付~」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/pamphlet/assets/consumer_education_cms201_20241021_0002.pdf (2025年7月23日アクセス)
・農林水産省「おいしさをもっと長持ちさせる夏野菜&果物の保存術」
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2007/spe1_05.html (2025年7月23日アクセス)
・吉田企世子(2017年10月14日) 「色の野菜の栄養事典」 株式会社エクスナレッジ

