最終更新日:2025年11月1日

「冬は太りやすい」というイメージを持っている方はいませんか?寒さが増す冬は外出や運動の機会が減り活動量が落ちたり、イベントで美味しいものを食べたりすることで「毎年体重が増えやすい」、「なかなか体重が減らない」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は基礎代謝について詳しくお伝えするとともに、生活の工夫で代謝を高めるポイントをご紹介します。
基礎代謝とは
私たちの体は、眠っているときや安静にしているときでも体温を保つために、心臓を動かしたり呼吸することによってエネルギーを消費しています。このように心拍や呼吸、体温の維持など私たちが生きていくために最低限必要なエネルギー消費のことを基礎代謝といいます。1日あたりの総エネルギー消費量は基礎代謝量、身体活動量※1、食事誘発性熱産生※2で構成されています。内訳は基礎代謝量が約60%、身体活動量が約30%、食事誘発性熱産生が約10%です(図1参照)。下図のグラフからも分かるとおり基礎代謝量が最も大きな割合を占めているため、基礎代謝を高めることができれば消費エネルギー量を増やすことができ、ダイエットや健康管理に役立てることができます。
図1

厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-02-003(2025年10月9日アクセス)
※1 身体活動量は運動によるものと、家事などの日常生活によって消費されるエネルギー量
※2 食事誘発性熱産生とは、食べ物を消化・吸収するために使われる熱エネルギー
1年の中で冬は一番基礎代謝が高い
基礎代謝は性別や筋肉量などによって個人差がありますが、1年の中で最も高くなるのは冬です。寒さに負けないように体温を保とうとするため、体は自然とエネルギーを使います。1年の中で冬に最も基礎代謝が高くなるのであれば「冬は瘦せやすいのでは?」と思うかもしれません。ところが実際には寒さで外出や運動が減りがちであること、お正月などのイベントごとで食べすぎや、糖質や脂質の多い食事が増えることなどが重なり冬太りにつながりやすいです。この冬太りを解消するには「基礎代謝を生かす生活習慣」が大切です。
基礎代謝を高めるポイント
基礎代謝が高まると消費エネルギーが増えるため、太りにくい体を作ることにつながります。ここからは基礎代謝を高めるポイントについて詳しくご紹介します。
代謝を助ける栄養素を意識して摂取する
たんぱく質

筋肉は体のエネルギー消費の多くを担っています。筋肉量が増えると効率よくエネルギーが消費され、消費エネルギーを増やすことができます。筋肉量を維持するためにはたんぱく質を含む食品を意識して取り入れることが大切です。
たんぱく質を多く含む食品・・・肉類、魚介類、卵、乳製品、大豆製品
ビタミンB群
糖質や脂質、たんぱく質を効率よくエネルギーに変える働きがあります。ビタミンB群が不足すると、せっかく食事から栄養素を摂ってもエネルギーにうまく変換されず、疲れやすさや集中力低下などの不調につながります。
ビタミンB1

糖質をエネルギーに変えるのを助け、疲労回復にも関わります。
ビタミンB1を多く含む食品・・・豚肉、大豆製品、うなぎ、落花生、玄米
ビタミンB2

脂質の代謝に関わり、皮膚や粘膜を健康に保ちます。
ビタミンB2を多く含む食品・・・レバー、卵、青魚、牛肉、アーモンド
ビタミンB6

たんぱく質の代謝に必要で筋肉づくりや神経伝達物質の合成を助けます。
ビタミンB6を多く含む食品・・・まぐろ、かつお、鶏のささみ、にんにく、バナナ
腸内環境を整える
腸内環境が整うことで栄養素の吸収が高まり、代謝のサポートにつながります。
腸内環境を整える食品例

発酵食品・・・ヨーグルト、ぬか漬け、納豆、みそ、キムチ
食物繊維・・・野菜、きのこ、海藻類、穀類、豆類
運動で筋肉量を増やす

代謝を高めるためには、筋肉量を維持・増加させることが欠かせません。年齢とともに筋肉量が減ると基礎代謝も下がってしまいます。冬は寒さで運動不足になりがちですが、室内でもできるスクワットや腹筋、ストレッチなどの運動を取り入れる他、通勤や買い物の際に階段を使う、少し早歩きをする、姿勢をよくするといった日々の工夫も積み重ねになり、代謝維持につながります。無理のない範囲で取り組みましょう。
食事の工夫で代謝をサポート

日頃から体を温める食べ方を意識し代謝をサポートさせましょう。
①朝食を抜かない:体温を上げ、体を活動モードに切り替えるスイッチになります。
②温かい料理を選ぶ:鍋やスープなどで体を内側から温め、冷え対策にも効果的です。
③香味野菜、スパイスを使う:しょうがやにんにく、唐辛子、ねぎなどは体を内側から温め、血流をよくする効果が期待できます。
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まとめ
いかがだったでしょうか?基礎代謝は性別や筋肉量などによって個人差がありますが、お伝えしたような生活の工夫を取り入れることで基礎代謝を高めることができます。これを機に普段の生活を見直し、寒い冬を元気に乗り切りましょう!
参考文献
川端和江 栄養学の基本講座 成美堂出版 (2023年)

