あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては、お健やかに初春をお迎えのことと存じます。
久しぶりに会った家族や親戚、友人、知人たちと楽しい時間を過ごし、食べ過ぎたり、飲み過ぎたりしてしまった方も多いのではないでしょうか。
日本には、お正月を過ぎた1月7日「人日の節句」の朝に「春の七草粥」を食べる習慣があります。これは平安時代には行われていた習慣で、1年の無病息災を願って食べられただけではなく、薬草の力で祝膳や祝酒で弱った胃を休めたり、デトックス(解毒)したりするためだったとも言われています。
※七草とは、セリ、ナズナ(ペンペン草)、ゴギョウ(ハハコ草)、ハコベ、ホトケノザ(タビラコ)、スズナ(かぶ)、スズシロ(大根)のことをいいます。それでは、それぞれの意味と主な効果効能をご紹介します。
○セリ:競り勝つ
葉酸・鉄分による造血作用や貧血予防、β-カロテンによる生活習慣病予防や肌の新陳代謝の活性化、ビタミンCによる免疫力向上や活性酸素の抑制・疲労回復、食物繊維による便秘改善など、多くの効果が期待できます。独特な香りのミリスチンやカンフェンという精油成分には、健胃・解熱・発汗作用があります。刻んでガーゼなどに包み入浴剤代わりに入れると、肩こりや神経痛なども緩和されます。
○ナズナ:撫でて汚れを取り除く
名前は「撫菜(なでな)」からの変化と言われており、撫でたいほど可愛いといわれる野草で、独特の甘味があります。カリウムを多く含み、ナトリウム(塩分)排泄を促進することで解熱・利尿作用があります。またビタミンKによる骨粗鬆症予防、ビタミンCによる美肌・かぜ予防効果も期待されます。
○ハコベ:繁栄がはびこる
ヒヨコグサとの別名通り、鳥が大好物な薬草です。ビタミンAによる免疫力向上、皮膚・粘膜の健康維持、ビタミンBによる疲労回復・貧血予防・血糖値の上昇抑制などの効果があり、ビタミンCも豊富に含まれます。 クマリンは止血作用、サポニンは利尿作用・むくみ防止に効果があります。 天日干しにして、乾燥させたハコベを塩と混ぜて歯磨き粉にすれば歯槽膿漏・歯痛予防にも効果があります。
○スズナ:神を呼ぶ鈴
根の部分に含まれるでん粉消化酵素アミラーゼには、胃の不快感を取り除く効果があります。
今回のご紹介する七草粥のレシピでは根の部分を使いますが、葉には100gで牛乳1本分以上のカルシウムが含まれており、骨粗鬆症や貧血の予防に効果的です。 また、便秘予防にも役立つと言われていますので、残った葉もぜひご活用ください。
○スズシロ:汚れのない清白
でん粉分解酵素ジアスターゼ・脂質分解酵素リパーゼ・たんぱく質分解酵素プロテアーゼなどの豊富な酵素が含まれており、消化促進を助け胃の調子を改善します。そのため、「自然の消化酵素」とも言われます。ビタミンCや食物繊維も豊富に含まれています。
○ホトケノザ:仏の安座
あまり栄養・効能は知られていないですが、健胃作用・食欲増進・高血圧予防に効果があると言われています。
○ゴギョウ:仏体
これも詳しく栄養・効能が分かっていないキク科の植物ですが、痰・咳・喉の痛みの緩和に効果があるとされています。
現在では、七草セットが市販されていますので、1月7日の朝には「七草粥」をつくり、今年1年の無病息災を願ってみてはいかがですか。
参考文献
・岡田恭子、食べる野草図鑑、日東書院、2013、p127
・ファイブ・ア・デイ協会・若宮寿子、冬野菜、野菜&果物図鑑、新星出版社、2006、p136-139
・高梨尚之・翠香園、粥百選、東京書籍、2012、p47