最終更新日:2023/11/1
寒い日も増えてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。寒いときに簡単に体を温めてくれるスープやおでん、鍋など温かい汁物が美味しいと感じる冬が近づいてきましたね。そんな冬ですが、実は塩分過多になりやすいということをご存知でしょうか?塩分過多は血圧を上げる原因となります。血圧が高めの方は一年を通して塩分を意識しなければなりませんが、特に冬は注意が必要です。そこで、今回は冬に塩分過多になる理由と対策をご紹介いたします。
冬に塩分過多になる原因は?
温かい汁物を食べる機会が増えるから
みなさん寒い時期になると食べたくなるものは何ですか?おでんや鍋、ラーメンや煮込みうどんなどの麺類、シチューやスープなどの温かい汁物が多いのではないでしょうか。基本的に汁物には塩分が多く含まれています。そのため、塩分が多い温かい汁物を食べる機会が増える冬は塩分過多になりやすいのです。
味覚感度が下がるから
冬は寒さで口の中が乾燥し、唾液が出づらくなります。そのため、味覚感度が下がり、濃い味を求める傾向にあります。
汗をかく機会が減るから
汗をかかなくなると塩分が排泄されないため、塩分過多になる可能性があります。
以上3つの原因により、寒い冬は塩分過多になりやすいです。人間の体の中は水分と塩分が一定の濃度に保たれていますが、塩分を摂りすぎていると、塩分濃度を保とうと体の中に水分を溜め込みます。これにより、血液量が増えて血管にかかる圧力が増すことで高血圧になってしまいます。また、塩分過多により骨を壊す細胞が増えてしまい骨粗鬆症になるリスクが高くなる、胃の粘膜が傷つけられて炎症を起こし胃がんになりやすくなることが科学的に証明されています。ここからはそんなリスクを回避するため、今日から始められる減塩生活のポイントをご紹介します。
すぐできる!減塩ポイント!
「減塩」と聞くと「薄味で美味しくない」というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、食品の選び方や調味料、食べ方を工夫することで美味しく減塩することができます。今回は、「選び方編」、「作り方編」、「食べ方編」に分けてポイントをご紹介します。
選び方編
まずは、調味料の上手な選び方や塩分が多い食品について知ることが大切です。
塩分が少ない調味料を選ぶ
日本人は食塩の約7割を調味料から摂っています。特にしょうゆ、塩、みそ、和風顆粒だしから食塩を多く摂取しています。濃口しょうゆは大さじ1で2.6g、みそは大さじ1で2.2gの食塩が含まれています。「塩分控えめ」「○%塩分カット」などが記載されているものを選ぶことがおすすめです。例えば、大さじ1の濃口しょうゆを減塩しょうゆに置き換えると、食塩摂取量は約1g減らすことができます。
※成人1日当たりの食塩相当量の目標量 男性:7.5g未満 女性:6.5g未満 (日本人の食事摂取基準2020版)
食塩が多く含まれる食品を食べ過ぎない
先に紹介した通り、冬に食べたくなる温かい汁物には食塩が多く含まれていますので、食べ過ぎないようにしましょう。以下の表を参考に1日の塩分摂取量を調整してください。
|
食塩相当量 |
ラーメン(汁を含む) |
7.1g (汁を半分飲んだ場合:4.6g) |
かけうどん(汁を含む) |
5.6g (汁を半分飲んだ場合:2.8g) |
おでん(汁を含む) |
3.8g (汁を半分飲んだ場合:1.9g) |
ビーフシチュー |
2.0g |
コーンスープ |
1.1g |
作り方編
塩分を控えても美味しく食べられる方法があります。それは、料理にだし、酸味、香り、香辛料をとり入れることです。
だしをとり入れる
かつお節、昆布、煮干し、干ししいたけなどの天然のだしをとり入れることで風味が増し、素材の味を引き立ててくれます。手軽に利用できる市販の粉末だしは便利ですが塩分が多いため、天然だしがおすすめです。
酸味をプラス
レモン、ゆず、すだち、酢などの酸味を料理にプラスすることで食欲をそそり、塩味を引き立ててくれます。
例)揚げ物に柑橘類を絞って酸味を加える、サラダのドレッシングは柑橘系のものや酢を選ぶ
香りをプラス
しそ、みょうが、わさび、にんにく、しょうが、ねぎなどの香りをプラスすることで味を引き締めてくれます。
例)和え物にしそを混ぜる、温かいスープに生姜を加える
香辛料をプラス
唐辛子、胡椒、山椒、カレー粉、わさびなどの香辛料をプラスすることでアクセントになります。
例)肉の下味に七味唐辛子を使用する、炒め物に山椒を加える、揚げ物の衣にカレー粉を混ぜる
厚生連ホームページの健康レシピでは塩分控えめで、おいしい冬にぴったりな温かいメニューもあるのでぜひご覧ください♪おすすめレシピのURLは記事の最後に載せています。
食べ方編
麺類を食べるときは汁をなるべく飲まない
例えば、ラーメンの汁を全部飲んだ場合と半分残した場合だと塩分の量が大きく違います。半分残した場合は約2~3gの減塩に繋がります。さらに、全部残すと約4gの減塩になります。麺類のみならずおでんや鍋などの汁にも塩分が多く含まれています。なるべく飲まないようにしましょう。
汁物の回数を減らす
例えば、みそ汁を1日2回から1回にすると約1gの減塩になります。汁物は1日1回までにしましょう。さらに、具沢山の汁物にすることで、具材のうま味が汁に溶け出し汁の量も少なくなるため減塩になります。
調味料のつけ方
お寿司を食べるとき、しょうゆはかけるよりつける方が減塩になります。さらに、ご飯側ではなくネタ側につけることでご飯がしょうゆを吸わないため塩分を控えられます。しかし、天ぷらや肉を塩で食べるときは逆で、つけるよりかけた方が減塩になります。塩はつけると一面に塩がついてしまい塩分過多に繋がりますが、かけると料理全体に塩がつけることができます。
いかがだったでしょうか?寒い冬に体を温めてくれる汁物は欠かせない料理ですが、塩分が多く含まれていることも覚えておいてください。寒い日も美味しく簡単に減塩生活を心がけましょう!
厚生連のおすすめレシピはこちら
参考文献
・日本人食品成分表2021八訂 医歯薬出版株式会社