最終更新日:2024年10月3日
秋といえば食欲の秋です。健康の源である食事をおいしく楽しむためには、胃腸の自己管理は欠かせません。「菌」というと、健康を害する「病原菌」というイメージを持つ方も多いと思います。しかし、実は人間の体にはもともとたくさんの菌が棲みついていて、免疫力を高める、肌をきれいにするなど、私たちの健康に味方をしてくれる菌がいることをご存じでしょうか?今回は数ある菌の中でも、健康な人の体に日常的に存在する菌、「常在菌」について詳しくご紹介します。
常在菌の種類と機能
「常在菌」とは、主に健康な人の身体に日常的に存在する微生物(細菌)のことを言います。人の場合、腸内に最も多く存在し、他には口腔内、皮膚表面などに生息しております。膨大な数の常在菌は、その機能から大きく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌(ひよりみきん)」の3つに分類されています。
善玉菌 【乳酸菌やビフィズス菌】 |
腸内でビタミンをつくったり、免疫力を高めたり、腸の働きを整えて便通をよくしたりと健康のために働いてくれます。 |
悪玉菌 【ブドウ球菌など】 |
腸内で有害物質をつくり、腸壁細胞にダメージを与えます。腸内の悪玉菌が多くなると便が硬くなったり、臭くなったりします。 |
日和見菌 【無毒性の大腸菌など】 |
腸内の善玉菌・悪玉菌の多い方に味方します。腸内の状態によって有益な働きをしますが、ときには有害な働きもします。 |
健康な腸内では善玉菌が悪玉菌の働きを抑えています。理想的なバランスは善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7とされています。
関連健康情報
生活に欠かせない常在菌を知ろう
常在菌が人体にもたらす作用
常在菌が人体にもたらしてくれる良い作用のひとつは、他からやってきた病原菌を定着させないようにするバリア機能です。常在菌は体の免疫システムの働きを高める作用もあります。特に腸は食べ物などに付いている細菌やウイルスなどに常にさらされており、病気から体を守る最前線といえます。そのため、私たちの体の免疫システムは主に腸で調整されています。常在菌は免疫を刺激して、人のもつ抵抗力を強化してくれるのです。
常在菌の良いバランスを保つためには
菌の増減に関わってくるポイントの1つは食事です。例えば、腸内の善玉菌は、菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖をたくさんとることで、菌の増加が期待できます。逆に増やしたくない腸内の悪玉菌は、肉などのタンパク質、脂質が中心の食事によって増えてしまいます。また、栄養の入り口となる口のケアを怠ることでも、悪玉菌を増やす原因となるので注意しましょう。
1日3食規則正しく食事をとり、起床後や食後の歯磨きをしっかりすることが、常在菌の良いバランスを保つことにつながります。また、砂糖の過剰摂取を控えバランスの良い食事をとるよう心がけていきましょう。
便のセルフチェックをしましょう
腸内細菌が健康的な好ましい状態であるかを知るもっとも簡単な方法は、便を観察することです。善玉菌が多く健康的な腸内は酸性に傾き、便の色は黄色から黄色がかった褐色でにおいがあっても臭くなく、やわらかいバナナのような形状です。逆に腸内細菌のバランスが悪くなっていると、黒っぽい色で悪臭がある便になります。簡単に健康状態をチェックできるので、ぜひご自身で日頃から便のセルフチェックをしましょう。
腸内細菌のバランスを保ち、健康的な共生関係を築きましょう
人間と菌は自然と助け合う共生関係を築き上げてきました。しかし、そのバランスは常に変化しています。常在菌と上手に付き合い健康を保つには、常在菌について正しい知識を持ち、運動、休養といった生活習慣を見直し食生活を整えていくことが大切です。
【参考文献】