最終更新日:2024年1月26日

日本で女性が発症するがんのうち、最も多いのが乳がんです。約9人に1人の割合で発症すると言われています。乳がんの発症には月経に伴い卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっています。昔に比べて初潮の年齢が早く、妊娠や出産回数が少ないため、月経回数が増えることでエストロゲンの影響を受ける期間が長くなっていることが、乳がん増加の一因とされています。
ブレスト・アウェアネス

乳房の状態に日頃から関心をもつことにより、乳房の変化を感じたら速やかに医師に相談するという正しい受診行動を身につけるブレスト・アウェアネス(乳房を意識する生活習慣)が大切になります。自分の乳房に関心をもち、定期的にセルフチェックをすることは乳がんの早期発見のためにはとても大事なことです。まず自分の乳房の状態を知ることから始めましょう。特に閉経前の女性は、月経周期に伴う変化を知ることも大切です。日頃から自分の乳房を意識し、その状態を知っておくことで異常の出現に気が付けるようになります。
乳房を意識する生活習慣のポイント
自分の乳房の状態を知る
入浴やシャワーの時、着替えの時、ちょっとした機会に自分の乳房を見て、触ってみましょう。入浴の際に石鹸を付けて撫で洗いするのもいいでしょう。
乳房の変化に気を付ける
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普段の自分の乳房の状態を知ることで、初めて変化に気が付けます。しこりを探す(自己触診)という行為や意識ではなく、「いつもと変わりがないかな」という気持ちで取り組みましょう。 変化として注意するポイントは『乳房のしこり』『乳房の皮膚のくぼみや引きつれ』『乳頭からの分泌物』『乳頭や乳輪のびらん(皮膚のただれ)』などです。 |
変化に気が付いたらすぐに医師に相談する
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しこりや引きつれなどの変化に気付いたら、次の検診を待つことなく、病院やクリニックなどの医療機関で専門医の診察を受けましょう。大丈夫だろうと安易に自己判断してはいけません。 |
40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける
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乳がん検診の目的は、乳がんで亡くなる女性を減らすことです。現在、厚生労働省が推奨している乳がん検診(マンモグラフィ)は「死亡率を減少させることが科学的に証明された」有効な検診です。40歳以上の女性は、2年に1回、定期的に検診を受けましょう。 また、「異常あり」という結果を受け取った場合には必ず精密検査を受けるようにしましょう。 |
乳腺超音波検査(乳腺エコー)もおすすめです
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乳房内の小さなしこり(腫瘍)の発見に適した検査です。 しこりの大きさや硬さ、状態なども観察することができます。また、脇の下など周囲のリンパ節も調べます。 乳腺が発達している若い世代の方や、マンモグラフィで乳房が白く写る高濃度乳房と判定されている方でもしこりが見つけやすいことに加え、ペースメーカーを装着されている方や豊胸術後の方、妊娠中や授乳中の方でも受けられます。 |

いかがだったでしょうか。検診で定期的に検査すること、ブレスト・アウェアネスを意識することで乳がんの早期発見・早期治療に繋げることができます。自分の乳房に関心を持ち、異変を感じたら自己判断をせず、すぐに医師に相談しましょう。
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参考文献
・NHK出版社「NHKテキスト きょうの健康 2021年3月号(通巻396号)」 P38~41 山内英子
・NHK出版社「NHKテキスト きょうの健康 2022年10月号(通巻415号)」 P28~31 明石定子
・一般社団法人 日本乳癌学会HP https://www.jbcs.gr.jp/





