最終更新日:2024年1月26日
地域の土地や気候を生かして栽培された郷土野菜。皆様は山梨の郷土野菜、ご存じですか?
ここでは健康効果と一緒にご紹介します♪
山梨の郷土野菜6選
やはたいも(甲斐市八幡地区)
旬:9月~12月
釜無川の度重なる氾濫で堆積した肥沃な砂質土壌で育ったやはたいもは白くてきめ細かく、粘りが強く、独特の風味があり、地元ではほうとうに欠かせない食材です。
西八幡地区は、信玄堤が築かれるまで釜無川・御勅使川の氾濫原で頻繁に洪水被害が発生した場所です。その洪水によって河川の伏流水が砂利とともに流れ田畑に浸み渡り、里芋の栽培に適した水はけの良い栄養豊富な土壌を作ったといいます。
★健康効果
やはたいもをはじめとする里芋のヌルヌルした粘性の成分は、ガラクタンという栄養素です。ガラクタンは食物繊維の一種で整腸作用があり、便通に効果的です。
そして、里芋といえば触れた後に手が痒くなることがあります。この痒みの原因は、主に里芋の皮の周辺に含まれるシュウ酸カルシウムです。この成分はトゲトゲした針のような形をしており、里芋の調理中にこのトゲが壊れて皮膚に刺さりやすくなり、刺さった箇所に痒みのような症状が起こります。皮を厚めにむくことや、切るのではなく袋に入れて叩くことで防ぐことができます。
大塚にんじん(市川三郷町大塚地区)
旬:11月~1月
市川三郷町大塚地区では、土壌が深くきめ細やかで、石が無い肥沃な土地のことを「のっぷい」と言い、昔から品質の良いにんじんやごぼうなどの根菜類の栽培に適した地域です。栄養分豊富な「のっぷい」に育てられた大塚にんじんは、濃い鮮紅色で独特の風味と甘さがある太くて長いにんじんであり、収穫時には、80cm~120cmにもなります。
★健康効果
通常のにんじんと比べると、ビタミンB2は3倍、ビタミンCは2.3倍、β-カロテンは1.5倍と栄養が豊富です。β-カロテンは老化を予防したり進行を遅らせたりします。また鮮やかなオレンジ色はβ-カロテンとリコペンで、強力な抗酸化作用があります。β-カロテンは皮のすぐ下に多いため、皮を薄くむくか、無農薬のものを選んで皮ごと食べることがポイントです。油と一緒に摂ることでβ-カロテンの吸収率が上げるため、サラダや炒め物、天ぷらなどがおすすめです。
あけぼの大豆(身延町曙地区)
旬:10月~11月
山梨県の南部に位置し富士川とそれを囲む山々に囲まれる自然豊かな町、身延町のブランド大豆です。標高300~700mの昼夜の寒暖差が大きく、霧が多く発生する身延町曙地区で採取した種子を使用して町内で栽培されています。限られた気象条件や手作業での生産のため大量生産ができず、その希少性の高さから幻の大豆と呼ばれています。
★健康効果
あけぼの大豆をはじめとする枝豆には、メチオニンが豊富に含まれています。メチオニンはビタミンB1、ビタミンCと共にアルコールの分解を促し、肝機能の働きを助ける働きがあります。お酒の飲み過ぎや二日酔いを抑える働きがあります。そのようなことからもお酒のおつまみにピッタリです。
水かけ菜(都留市十日市場・夏狩地区)
旬:12月~2月
桂川流域の富士吉田市から都留市にかけて古くから栽培されています。山中湖に端を発し富士の湧水を混入して流れる桂川は、冬場でも水量が豊富で水温も10~12℃を保っており、これを水田に引き込んでかけ流しにすることで、冬の寒さが厳しいこの地域において貴重な青物の栽培が可能となりました。
★健康効果
水かけ菜にはビタミンCが多く含まれており、免疫力を高める効果があります。強い抗酸化力により動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などの予防効果もあります。ビタミンCは鉄分の吸収率をアップさせる働きがあります。肉や魚の鉄分に比べ、野菜や大豆に含まれる鉄分は吸収率が低いため、ビタミンCの多い食品と一緒に摂ることがポイントです。
茂倉うり(早川町茂倉地区)
旬:7月~8月
100年以上前から茂倉集落に伝わる在来種のきゅうり。みずみずしくてシャキシャキした歯ざわりが特徴です。早川町には、暑い夏、食欲がわかないときに、冷たいみそ汁を麦飯にかけて食べる”冷や汁”という食習慣があります。茂倉うりは、早川町で古くから栽培されてきた”えごま”などの食材と、食欲を刺激する大葉などが入った冷や汁をそばにかけた、夏の奥山の食文化を基に考案した料理が有名です。
★健康効果
きゅうりの青臭さのもとはピラジンという成分で、血液をサラサラにする効果があります。また、水分が多いイメージですが、カリウムも豊富に含まれています。カリウムには、体内で残った余分なナトリウムを排出する作用があるため、むくみの解消や血圧を下げる効果があります。ぬか漬けにすると、ぬかから移行したビタミンB1、B2が摂取できるためおすすめです。ただし塩分の取り過ぎには注意しましょう。
鳴沢菜(鳴沢村)
旬:10月~11月
富士北麓地域の冷涼な気候を活かして鳴沢菜をはじめとした高原野菜が栽培されています。降雪にあえば根は濃紫色に変化します。茎は柔らかく浅漬け加工用の食材として野沢菜と同等以上で、特に醤油漬けに向いています。地元では葉や根部を乾燥させおじやや味噌汁の具として、根は浅漬け等に利用できます。
★健康効果
鳴沢菜には、β-カロテンやビタミンCが豊富に含まれています。β-カロテンには抗酸化作用があります。また冬にビタミンCをたっぷり摂取できることから、風邪予防にもなります。また野菜に含まれるカルシウムは一般に吸収率が低いため、ビタミンDを含む食品(魚やきのこ類)と組み合わせると効果的です。
いかがだったでしょうか。ご紹介した郷土野菜はJAの直売所等で新鮮なものを販売しております。ぜひ山梨の郷土の味をお楽しみください。
参考文献
・山梨県/山梨の特産・伝統野菜 (pref.yamanashi.jp)
・日本の伝統野菜ー19.山梨県 | 【日本伝統野菜推進協会】伝統野菜を後世に残すためのPR活動 (tradveggie.or.jp)
・正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学(2006) 監修吉田企世子(女子栄養大学名誉教授)、松田早苗(女子栄養短期大学部教授)