最終更新日:2024年8月1日
今年も暑い日が続き、熱中症の危険性が大きく取り上げられています。熱中症対策として「こまめに水分補給をしよう」という意識は世間でも広がりつつあり、夏場は積極的に水分補給を行う人も多いかと思います。水分補給は大切なことですが、その時にスポーツドリンクや清涼飲料水などを大量に飲んでいませんか?清涼飲料水などのペットボトル飲料には糖質が多く含まれているものがあり、大量に飲み続けると「ペットボトル症候群」という健康障害を引き起こす場合があります。
あなたの熱中症対策は大丈夫でしょうか?今回は、夏の適切な水分補給についてお伝えします。
ペットボトル症候群とは?
近年注目されている「ペットボトル症候群」。みなさんはこの言葉をご存じでしょうか。ペットボトル症候群の正式名称は清涼飲料水ケトーシスと呼び、甘い飲み物を多量に飲むことで引き起こされ、高血糖状態になり糖尿病のような症状が現れます。ペットボトルで甘い飲み物を取ることが多いので、「ペットボトル症候群」と言われるようになりました。
糖尿病というと、大人が発症するイメージがあるかもしれませんが、10代の若者でも部活動などの運動時に、水の代わりに清涼飲料水を飲み過ぎることで発症する場合もあり、世代を問わず注意が必要です。
ペットボトル症候群になる原因
主な原因は、スポーツドリンクや炭酸飲料、ジュース、甘いコーヒーなどの飲み物を多量に飲むことです。これらの飲み物には、多くのブドウ糖や砂糖が使用されています。飲み物は体内に吸収されやすいため、多量に飲んでしまうと血糖値が急上昇してしまい、高血糖状態を起こしやすいです。
ペットボトル症候群に見られる症状
ペットボトル症候群では糖尿病と同じような症状が出てきます。
のどの渇き・多飲・多尿
血液中に過剰な糖があると、それを薄めようと体が水分を欲するようになり、のどの渇きを感じるようになります。この際、水やお茶であれば問題ないのですが、清涼飲料水などの甘い飲み物を飲んでしまうと、さらに血糖値が高くなってのどが渇き、また甘い物を飲んでしまうという悪循環に陥ってしまいます。これだけではなく、たくさん水分を摂ると尿から糖を排出しようという働きが増すため、多尿の症状も現れます。
倦怠感・意識障害
私たちの体は血糖値が上がると、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンが分泌されます。繰り返し甘いものを飲むことで高血糖状態が続くと、インスリンが効きにくくなり、ケトーシス(糖をエネルギーに利用できず、ケトン体という物質が増え、血液が酸性に傾く状態)を引き起こします。ケトーシス状態では倦怠感や、重症になると意識が朦朧とするなどの意識障害が現れます。
水分補給のポイント
無糖飲料を選ぶ
エネルギー量 | 糖質量 | |
炭酸飲料 | 237kcal | スティックシュガー 約20本 |
果汁入り飲料 | 205kcal | スティックシュガー 約17本 |
スポーツドリンク | 106kcal | スティックシュガー 約9本 |
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)参照(すべて500ml換算。スティックシュガーは1本3g計算。)
ペットボトル飲料には、思っている以上にエネルギーや糖質が含まれています。普段飲んでいる清涼飲料水のエネルギーや糖質の量はご存知でしょうか。ペットボトル1本であっても、これだけのエネルギーや糖質が含まれています。「低糖」や「微糖」と表示されていても、スティックシュガー5本程度の糖質が含まれていることがあり、これらを選ぶときには注意が必要です。ペットボトル症候群を避けるためには、無糖の飲み物を選ぶことが大切です。
エネルギーや糖質以外の注意点 ~スポーツドリンクや経口補水液の飲み方~
スポーツドリンクや経口補水液といった飲み物は、エネルギーや糖質の他にナトリウムなどの電解質が多く含まれています。特に経口補水液は、早く体内で栄養素を吸収させるため、スポーツドリンクに比べて約3~4倍のナトリウムやカリウムが含まれています。スポーツドリンクは汗をたくさんかいた際の水分補給、経口補水液は脱水時の水分と電解質の補給のために使用しましょう。どちらも日常的な水分補給としては、飲み過ぎないように心がけましょう。
カフェインやアルコールを控える
カフェインを含んでいるコーヒーやアルコールには利尿作用があり、体内の水分を外に排出してしまう働きがあります。そのため、カフェインを含まない麦茶や水などで、水分補給を行うことがおすすめです。
のどが渇く前に飲む
「のどが渇いた」と感じた時には、すでに体は脱水状態に近づいています。熱中症を防ぐためにも、時間を決めてこまめに水分補給をすることが大切です。起床時、就寝時、入浴前後など、水分を補給するタイミングを決めておきましょう。トイレに行くときや立ち上がったタイミングに合わせて水を飲むなど、水分補給を決まった動作と習慣化することもおすすめです。
まとめ
いかがだったでしょうか。熱中症予防のため、気軽に購入ができるペットボトル飲料を飲まれる方も多いと思いますが、ペットボトル症候群を防ぐためにも、甘い飲み物の飲みすぎには注意しましょう。暑い夏を健康に過ごせるように、ご家族の中でも水分補給の仕方を見直してみてください!
・名古屋市衛生研究所 疫学情報部 「名古屋市衛生研究所だより No27 ヘルスリサーチ」 2015年
・一般社団法人 全日本清涼飲料連合会 「ペットボトル症候群」って何ですか?「健康」清涼飲料水Q&A
・消費者庁 ご存じですか?経口補水液の知識