最終更新日:2025年2月1日
朝食、食べていますか?
みなさんは毎日朝食を食べていますか?「1分1秒でも寝ていたくて朝ご飯を抜きがち」「お腹が空かないから朝ご飯は食べない」「ダイエットのために朝食は抜く」など、色々な方がいらっしゃると思います。もうすぐ新年度が始まりますが、新しい環境や生活においても、よい1日のスタートを切るためには朝食が欠かせません。今回は朝食を食べることのメリットや、どんなものを食べたらよいのかを、管理栄養士の視点でご紹介します。自分だけでなく、大切な家族の健康を維持するためにも、朝食を食べる習慣をつけて新生活を迎えましょう!
朝食を食べない「朝食欠食」のリスク
朝食欠食は疲れやすい、集中力が続かない、生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)の引き金になるとも言われています。また、朝食を抜くとエネルギー不足の状態が続き、血糖値は下がり気味になります。そうすると下がった血糖値を補うため、昼食や夕食で必要以上の食事を摂ってしまうことに繋がり、今度は急激に血糖値が上昇してしまいます。こうした血糖値の急激な変化で、糖を脂肪として取り込んでしまい、体脂肪が増加し、結果として太りやすくなります。
朝食の役割
そもそも朝食の役割は何でしょうか?主な役割を3つに分けてご紹介します。
体温を上げる
朝食を食べると胃や腸などの消化管が筋肉運動を始め、寝ている間に低下した体温を上昇させる効果があります。下図1のとおり、朝食を食べることによって、午前中の体温が上昇した状態を維持できていることがわかります。逆に朝食を抜いていた場合、体温を十分に上げることができず、さらに体温を維持するエネルギーや栄養素も不足してしまうため体温が低下しています。このように体温が下がると物事に集中できない、だるいなどの症状が出て、午前中の活動が思うようにできなくなります。午前中の時間を充実して過ごすためにも、朝食をしっかり食べることが重要です。
図1:鈴木正成 『実践的スポーツ栄養学』P144⑥なぜ朝食が大切なのか?より作成
エネルギーや栄養素を補給する
私たちの身体は、寝ている間にもエネルギーを消費しており、朝目覚めた時は、エネルギーやエネルギーを生み出すための栄養素が不足しています。朝食を摂ることで、就寝中に使われた分や午前中に使う分のエネルギーを補充できます。脳で使われるエネルギー源はブドウ糖のみですが、肝臓に蓄えられているブドウ糖はとても少なく、目覚めた頃にはほとんど使い切ってしまいます。そのため、朝食でブドウ糖が含まれるご飯やパン、麺類などの主食を摂ることが大切です。
体内時計をリセットさせる
体内時計とは体内の時間軸を調整するシステムのことで、ズレると身体の不調に繋がってしまいます。私たちの体内時計は1日約24時間+αの周期で動いており、1日24時間の周期に合わせるためには、毎日朝食でリセットする必要があります。また、朝食以外にも日光を浴びることも体内時計のリセットに有効です。
体内時計については、こちらの食コラムでも詳しくご紹介しています。
朝食は何を食べたらいい?
ポイントをおさえて、朝の身体が必要としている栄養素を、バランスよく摂ることができる組み合わせを知りましょう。
炭水化物
ご飯、パン、麺類、芋類などに多く含まれ、私たちの身体のエネルギー源になります。脳をしっかり働かせるためにはブドウ糖が多く含まれる炭水化物を摂取することが重要です。
〈炭水化物の食品例〉
ごはん
パン
麺
芋類
シリアルやオートミール など
たんぱく質
肉、魚、卵、大豆製品などに多く含まれ、筋肉を作る材料になり、前述の体内時計をリセットする働きもあります。たんぱく質で朝の体温を上げて、身体を目覚めさせましょう。
〈たんぱく質の食品例〉
肉(ハム・ウインナーなど)
魚(焼き魚・ツナ缶など)
卵
大豆製品(納豆・豆腐など)
乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)
ビタミン・ミネラル類
炭水化物とたんぱく質以外に、野菜や海藻類など体調を整えてくれる食品もおすすめです。野菜類のおかずは夕食で余分に作って、朝食用にとっておくと忙しい朝も取り入れやすいです。
〈ビタミン、ミネラル類の食品例〉
野菜類
果物
海藻 など
たんぱく質のちょい足し
最後に、不足しがちなたんぱく質を補給するポイントをご紹介します。下の例のように、手軽に追加できるたんぱく質を、冷蔵庫に用意しておくことがおすすめです。忙しい日は炭水化物とたんぱく質だけでも食べるようにしましょう!
いかがだったでしょうか?朝食を食べることのメリットはたくさんあり、毎朝しっかり食べることで体調を整えてくれます。新生活によいスタートを切れるように、まずはバランスの良い朝食を食べることから始めてみませんか?
参考文献
独立行政法人 農畜産業振興機構 | 砂糖と健康~肝臓と筋肉の働きを高める砂糖の生理的役割~
早稲田大学 | ノーベル賞で話題の「体内時計」は「時間栄養学」でコントロール」